福井・敦賀旅行(3日目)

こんにちは。

これまで「金沢旅行 1日目 / 2日目」と付けてきましたが、3日目は福井と敦賀に行ったのでちょっと名付けを間違えましたね。まあ、1日目を書いたときは精神が完全に終わっていたので、責任は不問とします。

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3日目の金沢駅です。青空ですね。さっそく金沢からはお別れ。

 

なんでこう、慌ただしいんだろうか。金沢を惜しむ間もなく特急券を買い、サンダーバードへ半ば駆け込み乗車。JR西日本さん、ごめんなさい。

 

普段は夜行バス(通称:やこば)で旅行をすることが多いのですが、今回鉄道旅行にしたのはこのサンダーバードに乗りたかったのもひとつの理由。北陸新幹線が金沢に延伸する来春、敦賀〜大阪に短縮されてしまうんですよね。在来線特急にあまり馴染みがないので乗るとワクワクします。といいつつ結局駆け込み乗車という体たらくである。

 

サンダーバードは号によって停車駅が違うものの、かなり速い特急列車としても知られています。乗り込んだのはかなり速い便で、金沢を発つとKOMATSU企業城下町小松、一大温泉地加賀温泉、同じく温泉地芦原温泉など新幹線の駅ができる駅を完全にすっ飛ばして約40分で福井駅へ。加賀温泉、かなり行ってみたいところの一つなんですが、今回はパス。

 

ようこそ福井へ。福井県初上陸ですが…なんかちょっと改札の数少ないですね。改装中なのかな。

 

なんかいたよ。

 

福井駅前です。なかなかいい感じの交通広場で整備されていますね。まあただ建物は低め、商業施設も少なめかしら。

 

福井といえば恐竜! 恐竜が動いていました。ちなみに金沢には観光客が300万人くらいおりましたが、福井には恐竜を撮っているおじさんが2人いるだけでした(私を除く)。

 

繁華街はこちらかしら。特に予定も立てていないので、なんとなく歩いていきましょう。下に線路が見えておりますが、福井には路面電車が通っています。しかし福井駅前駅に来るのは30分に1本。まじかよ。大丈夫でしょうか。

 

いい感じの中心市街地ではありますが…、人がいなすぎる。まあ…市域人口26万、こんなものなのか…?(福島・青森・津と同じくらい) ただ都市圏人口は65万人、そう考えると金沢(74万人)とあまり変わらず、松山・長野・甲府よりも上なのだけどなあ。集積度が低いのかな。おそらく郊外のショッピングセンターには人が多いのでしょうけど。

 

お、いい路地。今見ると左のグラフィティまわりがおもしろいぞ。「災」を顔にしてるステッカーとか。

 

西武百貨店福井店。9:50、開店10分前だったのでさすがに入口前には人がいました。よかった。建物がソリッドにぼこぼこしていてかっこいい。福井は市街地と駅が比較的近いんですねえ。

 

なんか自衛隊のパレードがあるらしく交通も制限されていました。路面電車、かわいい。青白緑の色合いがどことなく北欧とかドイツの地方都市に走ってそうな雰囲気もありますが、そこまで言うにはちょっと顔が野暮ったいかな。

 

中心繁華街。順化(じゅんか)、もしくは片町と呼ぶそうです。不思議な地名ですが、順化小学校が漢籍から名付けられたことから地域一帯がこう呼ばれるようになったとか。…まあ、朝来ているからというのはある、けど、人、ゼロ。

ヨーロッパ軒というソースカツ丼の名店もありますが、まだ開店前です。

 

あと、散歩するには暑い。風もあまり吹かず、福井城址のお堀では水面も静かです。

 

城址に鎮座ましますは福井県庁。でかいですね。これを移転して城跡として歴史公園にする…みたいな話もあったりなかったりするようですが、はたして。

 

だめだ、疲れてきた。今日は特に予定も決めず、なんとなく夕方まで福井駅前で街歩きをして過ごそうと思っていましたが、ちょっと申し訳ないけど街歩きに適した街ではなさそうだ。路面電車に乗ってみるという手もありますが、沿線に何があるのかもいまいちわからない。車を借りてしまいましょう。

 

タイムズカーで車を借り、走ること15分程度、福井市美術館(アートラボふくい)にやってきました。

 

建築が大変美しい。黒川紀章設計です。公立美術館はだいたい黒川紀章が作ってますね。すき。町田駅前にある彫刻(ぐるぐるではない方の、ターミナル側のやつ)も黒川紀章が設計していたので、町田市出身の私が人生のかなり最初期に名前を知った建築家かもしれません。というか人がいなくて最高。

 

企画展はひろしま美術館コレクションの巡回展。ひろしま美術館には行ったことないのでまあサラッと見ていきましょう。近代洋画はかなり好きな分野ですし。

 

古賀春江《風景》

古賀春江の風景画は初めて見た。水彩画なんですねー。かわいい。友人が「古賀春江が男性なことを最近知った」と言っていました。春江ちゃんくん。福井県の春江(現・坂井市)とは関係ありません。

 

野口弥太郎《港の眺め》

野口弥太郎、知らない画家でしたがラウル・デュフィとかアンドレ・ドランっぽくてなかなかフォーヴな色使いですね。今後チェックしていきたい。

 

三岸節子《カーニュにミモザ咲く頃》

三岸節子、すき〜〜〜。つまり、抽象化された風景画が好きということになります。

 

常設展は「高田博厚の世界」と名付けられた展示。こちらがなんか入り組んだところにあって、企画展と別料金というよくわからないスタイルでしたが、なかなか面白かった。存じ上げずでしたが、福井出身の彫刻家・新聞記者で、フランスの文化や美術を日本に持ち込むのに大きな役割を果たしたすごいお方。ロマン・ロランジャン・コクトー、ポール・シニャックジョルジュ・ルオーなんかと繋がっていて、なんかまるで日本のベルネーム=ジュヌ画廊みたいな人だと思いました。日本とフランスを繋いだという意味では、雑誌「白樺」や瀧口修造なんかとも位置づけは近いでしょうか。

彫刻作品もそういった有名人の顔が再現されていたりして、なかなかおもしろい。古い展示ではありますが、少なくとも当初は力を入れていたんだなということがわかります。

常設展なのに写真撮影不可だった(惜しい)ので、美術館の外側の公園の彫刻めいた噴水の写真でごまかします。

ja.wikipedia.org

 

 

さて、ドライブしましょ。夏の空ですね。良い風景ですこと。

 

かなり山奥まで登ってきて、谷口屋というお店にやってきました。福井の隠れた名物、とっても大きな油揚げ。揚げたてサクサクふわふわの油揚げ、かなりおいしかったです。ただ、山奥なのにここだけめちゃめちゃ人がいて、1時間待ちはなかなか堪えました。

 

もう、あとは、すみません、ずっとひたすらドライブをしていました。永平寺一乗谷東尋坊越前松島水族館、恐竜博物館、さまざま行きたいところはあるものの、時間(タイムズカーは6時間で返すのがお得)が微妙にないような、あまり外に出たくないような、暑いような、人とすれ違いたくないような、人と喋りたくないような。丸岡〜芦原温泉東尋坊福井駅と車を降りずにひたすらドライブをしていました。福井、ごめん、きっとまた来るよ、の気持ちです。

 

福井駅に戻ってきて、今度は敦賀へ向かいましょう。特急でも良かったのですが各駅停車で。武生、鯖江などを過ぎ、北陸トンネルで山を抜け、敦賀へ。

 

来敦(という言葉を敦賀の街でどこかで見かけた、らいつる?らいとん?まるで倫敦[ロンドン]に来たような気さえする)。2024年春に北陸新幹線の(しばらくの)終着駅になる駅です。

 

暗さと疲れとで写真がぶれてきた。思ったよりなんか栄えてる感じがするな。人口は6万人と福井第4の都市ですが、拠点性は高そう。イメージで言えば横浜に対する小田原みたいな感じでしょうか。

 

ほら、駅前の大通りの両側に屋根付きの商店街があるし。

 

百貨店はさすがにありませんが、平和堂アルプラザがあるので安心ですね。滋賀資本。無印もあるで。敦賀まで来るとかなりもう関西、京都・滋賀の香りがしてきます。

 

しかもなんか祭りやってるし、人多いし、商店街ずっと続いているし。これは歩いていて楽しいぞ(日も陰り、涼しくなってきただけという説もある)。

 

氣比神宮(けひじんぐう)にやってきました。ものすごく大きいわけではありませんが、いい感じの大きさ。越前国一宮。・・・敦賀って越前なのかよ。福井県嶺北と嶺南に大きく分かれ、それぞれ越前と若狭なのだと思ってましたが、敦賀は嶺南だけど越前なんですね。無知でした。

 

そしてしっかり祭をやっている。ということは「今日が一年のうちで一番敦賀が盛り上がる日なんだろうな〜、いい日に来たな〜」と思っていたのですが、調べてみると「敦賀まつり(祭礼的には「気比の長祭」)」の本祭は来週らしく、なんか祭の期間が1ヶ月間続いているらしい。そのあいだ、縁日は毎週末開催。つまり今日は前夜祭(前週祭?)みたいなこと。え、街の底力すごくないか?

 

敦賀市武道館。こういう地味〜だけど端正〜でかわい〜公共建築フェチです。

 

敦賀港に来ました。タンカーもいる。いいですねえ。駅からはゆっくり歩いて30分くらいでしょうか。

 

かつては線路が伸びていたようで、敦賀港駅のかわいい駅舎も残っています。

 

正直東京の人に敦賀と言ってもあんまりピンと来ない人が多いのではないかと思いますが、北前船の寄港地として、京都から東北方面への外港として、そして日本全体のユーラシア大陸からの外港の一つとして舞鶴や新潟などに並び長らく栄えてきたのです。ここからシベリア鉄道に繋がっていたと思うと胸熱ですね。看板にもロシア語が書かれています。

 

そして近年は「人道の港」をテーマに観光開発を進めており、杉原千畝が発行したユダヤ人への「命のビザ」で日本へやってきた人々が上陸したのがこの敦賀だったとか。ヘブライ語が書かれていますね。素敵な建物の資料館もあります(時間が遅く入れていない)。そのあとユダヤ人たちは鉄道で神戸や横浜のユダヤ系コミュニティ(当時の日本にあったんですね)を目指したのだとか。

 

港町といえば、の赤レンガ倉庫もありますよ。観光資源いっぱい。

レンタサイクルがあったので自転車を借りてみました。なんとドコモ・バイクシェアなので、東京都民でもなんの手続きもなく借りれちゃいます。さいこー。

 

暮れゆく港町を自転車で駆け抜ける。夜風さいこー!

 

気比の松原にやってきました。日本三大松原の一つで、(…と言うと皆さん頭に浮かぶのは日本三景なのですが…)三保の松原(静岡)、虹の松原(福岡)に並ぶ景勝です。真っ暗なので松がなんだかとかよくわかりませんが、かなり内海の湾なので、いわゆる日本海側の海(イメージ:東尋坊のような断崖絶壁)とも、太平洋のだだっ広さとも違う、落ち着いた海と豊かな砂浜が広がっています。さいこー。

敦賀港とはすこし離れているので、ちょっと駅から歩くには遠いかな。自転車で10分くらい。ところで、日本海側の夜の海に一人でいるのはあまりよろしくないので、早々戻りましょう。

 

松原の内部です。街灯、なし。ヘッドライトの明るい自転車で良かった。

 

適当におみやげを買って19時すぎの終電1本前のしらさぎに乗って帰ろうと思いましたが、ちょっと間に合わなかった。20時すぎの終電で帰ります(20時すぎまで福井のこんなとこにいて東京帰れるんだね)。つまり1時間暇。ご飯食べてもいいんだけど、相変わらず元気はないし、あんまりお金を使いたくない。駅の近くをぶらぶらするか…。

 

お、なんと、スタバがありました。人口6万人の敦賀の駅前にはスタバがあります。人口26万人の福井の駅前にはスタバがありません(郊外のバイパス沿いにはいくつかある)。ありがとうございました。

 

というかなんか、「駅前新し複合施設」があるな。駅に降り立ったときは気づかなかった。「TSURUGA POLT SQUARE otta」というそうです。2022年秋にできたということで、北陸新幹線の終着駅になることを見越した開発ですね。とってもえらい。すごい。

そしてそしてなんか、図書館みたいな本屋みたいな素敵な場所が。「ちえなみき」という名称で、木が枝を広げていくような本棚の配置がすごい。いちおう普通に本屋でした。そのほか抹茶をメインにしたカフェ、軽く読書できるソファー席、しっかり本を読める読書席 / 自習席、子どもの遊び場などが一体化していて、それぞれ人が自由に過ごしています。旅の偶然の発見でこれは嬉しい。大興奮。郊外都市のおしゃれデカめ本屋、八戸ブックセンターとかとちょっと近い感じがあります。

 

で、私はいろいろ本屋に行くのが好きなので、ある種まあ蔦屋書店的な、おしゃれな本をたくさん置いているだけでしょ、という良くない先入観があったのですが、かなり選書がおもしろい、というか、案外硬派。これはすごいですよ。発見がありまくる。どうやら松岡正剛が選んでいるようで、なるほどね〜と腑に落ちました。運営は丸善。がんばれ。一冊買いました。

 

ということでですね、敦賀、まじで、さいこー!関西の人には観光地として認識されているんでしょうか。港町、豊かな歴史と博物館、大きめ神社、松原と海岸、良い複合施設。今回は食べていませんが、海産物や、ヨーロッパ軒の洋食も有名です。これらが海と山に挟まれた小さなエリアにぎゅっとしている。街は平坦なので、レンタサイクルも使いやすい。元気がない旅行中でも元気になれる街。

新快速に乗れば京都まで90分、特急(サンダーバードしらさぎ)なら大阪・名古屋も近いです。今もし地方移住するなら正直一番の候補かもしれない。本当にいいです。関西方面から日帰り旅行とかでもおすすめかも。

 

さて、あとは帰路です。またまたしらさぎに駆け込み乗車。なんなん?

 

名古屋行きだったので、米原駅で座席の向きを変えて岐阜を通り名古屋に行くというのもやりたかったのですが、時間もないのでふつうに米原で新幹線にお乗り換え。ひかり666号は米原・名古屋・静岡・新横浜だったのでけっこう速かった(米原に停まり岐阜羽島に止まらない珍しいタイプのやつ)。

 

好物の焼き鯖寿司に、敦賀みかんのビールをあわせていただきまして、12時を回ったころに無事帰宅。

 

〜〜〜〜〜

ということで、福井は個人的にはちょっと残念、敦賀はかなり最高、という1日でした。詳しいことはわかりませんが、やはり北陸新幹線の終点になるというのは大きいのでしょうか。金沢の経済効果も大きかったし。これからは東京駅でも「北陸新幹線敦賀行きです」とアナウンスされると思うと、ブランド力も高まるんですかねえ(でも開通しても東京から敦賀にただ行くだけなら東海道新幹線しらさぎのほうが速いのは内緒)。福井はしっかり下調べをした上でまた別の機会に行きたいと思います。

金沢も一旦は文化施設いろいろ行ったししばらくは大丈夫かな。でも能登加賀温泉は行ってみたいし、富山はまた行きたいところがたくさんあるので、いずれまた北陸方面に出かけることはあるでしょう。直江津妙高糸魚川などの上越方面も未踏の地。立山黒部アルペンルートもやりたいし。

あとは敦賀がかなーり良かったので、小浜、舞鶴、伊根、豊岡とかの北近畿に行ってみたいという気持ちがかなり高まった。鳥取・島根も未訪問なので、山陰をめぐるロング・ツアーを休職中にしておくのはありかもしれない(薬のせいで車に乗りづらいのがかなりきついが…)。

 

読んでいただきありがとうございました。おしまい。